USBの規格
USBとは「Universal Serial Bus|ユニバーサル・シリアル・バス」の略称で、コンピューターなどの情報機器に周辺機器を接続するためのシリアルバス規格の1つです。
USBの規格は、長らく「USB2.0」が主流でしたが、2008年11月に「USB 3.0」、2013年に「USB 3.1」が公開され、最大転送速度は大幅に向上しました。
USB3.1では、コネクタの表裏が関係ないリバーシブルコネクタが採用されています。この形状のことを「USB Type-c」と呼びます。
USB Type-cでは、耐久性が大幅に強化され、約1万回もの抜き差しに耐えることができます。USBというとマウスやストレージなどの周辺機器を接続するイメージを持ちますが、映像の転送や電源供給(大きな電力)もできます。
これまでも、スマートフォンやタブレット、デジタルカメラなどの充電であれば可能でしたが、USB3.1ではパソコンの充電も可能です。
USBの形状
画面左側がUSB3.0、右側がUSB3.1の形状です。
USB3.0の挿し口は水色です。USB3.1の挿し口はUSB2.0やUSB3.0とは形状が異なります。
USB3.0は、USB2.0と比較し、約10倍の速度でデータを転送できましたが、USB3.1はUSB3.0の約2倍の速度でデータを転送することができます。
USBの規格
規格名 | 端子の形状 | 使用発表日 | 最大転送速度 | 給電能力 |
---|---|---|---|---|
USB 2.0 | Type-A/Type-B | 2000年 | 480Mbps 60MB/秒 | 500 mA/5V |
USB 3.0 USB 3.1 Gen1 USB 3.2 Gen1 ※同じ意味 | Type-A/Type-B | 2008年 | 5Gbps 625MB/秒 | 900 mA/5V |
USB 3.1 USB 3.1 Gen2 USB 3.2 Gen2 ※同じ意味 | Type-C | 2013年 | 10Gbps 1250MB/秒 | 最大5A/20V |
USB 3.2 USB 3.2 Gen2×2 ※同じ意味 | Type-C | 2017年 | 20Gbps 2500MB/秒 | 最大5A/20V |
USB 4.0 | Type-C | 2019年 | 40Gbps 5000MB/秒 | 最大5A/20V |
- bpsとは1秒で転送できるビット数の単位です。
10Gbpsとは1秒間に10Gbのデータを転送できるという意味です。
ファイルサイズはbyte(1byte=8bit)単位で計算するため、10Gbps(10000Mbps)の通信速度の場合、1秒間に1250MB転送できることになります。 - キーボードやマウスなどの接続に使われる「USB Type-A」
- プリンターなどの周辺機器で使われる「USB Type-B」
- 「Gen」は、Generation(世代)の略称
- 「Gen2×2」は、Gen2(データ通信の経路が送受信で1組)を2つ組み合わせていることを意味しています。
ソケットの挿し間違いに注意
各ソケットに合わせてUSBを挿すのが基本ですが、パソコンが新しいUSBの規格に対応していない場合、ソケットの挿し間違いに注意が必要です。挿し口には下図のマークが記載されています。
USB3.1のマーク
最大転送速度が「数字」で表示されています。
10Gbpsの場合「10」と表示されています。
USB3.0のマーク
3.0のソケットにUSB2.0を挿すと速度は速まります。
USB2.0のマーク
2.0のソケットにUSB3.0を挿すと速度は遅くなります。
USB Type-Cとは
USB Type-Cは、USBの端子形状(コネクタ)のことです。※USB-Cと呼ばれることもあります。
コネクタの表裏が関係ないリバーシブルコネクタが採用されています。耐久性が大幅に強化され、約1万回もの抜き差しに耐えることができます。
USB Type-Cでできること
・従来のUSBの2倍のスピードで転送できます。(USB3.1 Gen 2)
・最大100Wの給電ができます。(USB PD/100W=20V/5A)
・映像などUSB以外の信号を伝送できます。(Alternate Mode)
今までノートパソコンやスマートフォンにケーブルで接続していたUSBや充電器、ディスプレイをすべてUSB Type-C端子でまかなうことができます。
そして、従来のUSBではできなかった「USB PD」と「Alternate Mode」の2つ機能を利用できる機能を備えています。※すべてのType-Cが対応しているわけではありません。
急速充電ができるUSB PD
USB PD(USB Power Delivery)は、USBケーブルを利用し、最大100Wまでの給電を可能にするUSBの電力拡張規格のことです。従来のUSB2.0は2.5W、USB3.0は4.5W、バッテリー用途の充電規格USB BC(Battery Charging)1.2は7.5Wまでの給電が可能でした。USB PDでは100Wまでの給電が可能になるので、従来対応できなかったタブレットやノートPCなどへの給電や、モバイル機器への急速充電(充電時間の短縮)も可能になります。
- USB PDは、5V、9V、15V、20Vの電圧に対応した電力を供給できます。
- USB PDを利用するには、ノートパソコンやスマートフォン、充電器やケーブルなど、すべてUSB PDに対応している必要があります。
- 最大5A/20Vは、形状がType-Cで、給電規格「USB PD(USB Power Delivery|Profile5」に対応している場合です。
5A/20Vとは、5A(電流)×20V(電圧)=100W(電力)を意味しています。 - すべてのType-CがUSB PDに対応しているわけではありません。
USB規格以外の信号を流すことのできるAlternate Mode
Type-Cは、USB規格以外の信号を流すことのできるAlternate Mode(オルタネートモード)を利用できます。※日本語で「代理モード」という意味
Alternate Modeを備えたType-Cなら、DisplayPort(DisplayPort Alternate Mode)やHDMI(HDMI Alternate Mode)を流すことで、USB-Cケーブルを利用して映像を出力することができます。Apple製品などに搭載されている高速通信規格Thunderbolt3も利用できるので、すべての端末がThunderbolt3を備えていれば、高速通信(40Gbps)も可能です。
- DisplayPort Alternate Mode(PCからの映像出力)
- HDMI Alternate Mode(映像機器やPCからの映像出力)
- MHL Alternative Mode(スマホからの映像出力)
- Thunderbolt3(最大40Gbpsのデータ転送)
※ケーブルの長さが1m以上のものは20Gbpsと半分まで性能が落ちます。
USB 3.1に対応したType-Cでも、Alternate Mode(オルタネートモード)に対応していなければ、映像を出力することはできません。